理学療法士として働きながら、コーヒーの魅力を発信するインフルエンサーとしても活躍中の高津(こうづ)さん。
10年前に趣味として始めたコーヒーライフは、今や自分らしさを表現する大切なライフスタイルに。
「コーヒーで生活が豊かになる」という高津さんに、愛用の器具や豆選びのこだわり、そして新感覚の「カフェレート」の楽しみ方について伺いました。
理学療法士としての日常、そしてコーヒーとの出会い
ー高津さんのプロフィールを教えていただけますか?
コーヒーを愛しすぎる理学療法士として、インスタグラムを中心に「コーヒーのある暮らし」を発信しています。日々の仕事は理学療法士として患者さんの生活をサポートすることですが、コーヒーを通じて自分らしい生活を皆さんに提案する活動もしています。
ー理学療法士というのは、どのようなお仕事なのでしょうか?
簡単に言うと「リハビリ」と呼ばれるものですが、理学療法士が行うのは専門性の高い分野です。歩く、立つといった動作を改善するだけでなく、身体の状態によっては、日常生活を豊かにするための環境や道具の提案など、生活全体を支える仕事をしています。
ーそんな高津さんがコーヒーに出会ったきっかけは何ですか?
実は、最初はただの思いつきなんです。働き始めて、仕事ばかりの生活が「これでいいのかな…?」と思うようになりました。何か趣味を見つけたいと思い、たまたま百貨店でコーヒー豆を見つけたんです。「豆をガリガリ挽くのってかっこいいな」って、それだけの理由でスタートしました(笑)。
何の器具も持っていないのに、「豆のままでください」と言ってしまって(笑)。その足で雑貨屋に行き、必要であろうと思う器具を買って帰りました。それが10年くらい前ですね。
「日常を豊かに」という想いで始めたSNS発信
ーインスタグラムでの発信では、さまざまなコーヒー器具を使って抽出されている姿が印象的です。器具は普段から試されることが多いですか?
はい、気になった器具は自分で購入して試しますし、提供いただいて知ることも多いです。いろいろな器具を組み合わせたり、その可能性を探る過程がとても楽しいんです。それぞれの特性を生かして、日々コーヒーを楽しんでいます。
▼高津さんのInstagramより。
ー器具の話が出ましたが、特にお気に入りの器具や、それに合わせた豆選びのこだわりはありますか?
お気に入りというより、その日の気分で選ぶことが多いですね。「どの器具が一番良いですか?」と聞かれることもありますが、正直、どれでも美味しく淹れられると思っています。形や材質といった違いはありますが、今の器具はどれも完成度が高いです。注ぎ方や温度を少し変えるといった工夫をすれば、どの器具でも好みの味は表現できると思います。
ーSNSでの発信は長く続けていらっしゃいますが、始めたきっかけは何でしたか?
実は、元々SNSにはあまり良い印象を持っていなくて、数年前までほとんど使っていませんでした。でも、コロナの影響で人々の生活から「生きる楽しみ」が失われているように感じて…。そんな中、私自身がストレスの解消や頑張ろうと思える原動力となっているコーヒーの楽しみ方をSNSで発信することによって、少しでも元気を届けたいと思ったのが始まりです。
ーご自身でラテアートなどもされていましたが、その技術はどのように学ばれたんですか?
ラテアートは完全に独学で、何度も繰り返し練習しました(笑)。一度失敗したら、どこが悪かったのかを分析して、次はそこを修正するという作業をずっと続けました。今では、自分なりのスタイルで楽しんでいます。
▼高津さんのInstagramより。
ーSNSで投稿されている写真や動画も素晴らしいですが、これもご自身で撮影されているんですか?
はい、全部自分で撮っています。ただ、カメラについては全然詳しくないんですよ(笑)。主にiPhoneで撮影していますし、買ったカメラもなんとなく選んだものを使っています。でも、コーヒーを撮るときは「この瞬間を見てほしい」というイメージが頭の中に明確に浮かぶので、その感覚を表現するために試行錯誤しながら設定をいじっています。皆さんの反応がフィードバックになっていますね。
コーヒーのプロフェッショナルが語る、「カフェレート」の魅力
ーコーヒー関連のお仕事もされているとのことですが、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
コーヒー器具の紹介や、ポップアップイベントに呼んでいただくことが多いですね。特に、器具を開発されている企業さんとのお仕事が中心です。実際に使ってみて感じたことを発信したり、イベントでお客様に直接紹介したりしています。
ー好きなコーヒー豆や淹れ方はありますか?
最近はコロンビアやパナマの豆が好きですね。パナマといえば「ゲイシャ種」という豆が高い評価を受けていて有名ですが、それ以外の豆もすごく美味しいものがたくさんあります。それぞれの国の豆には個性があるので、どれが特に好き、というより、その日の気分で選んで楽しむことが多いですね。
ー日本と海外では、コーヒー文化の違いは感じますか?
そうですね。日本では「フルーティー」という表現が広く使われますが、海外ではもう少し具体的に「青リンゴのフレーバー」「グレープフルーツの香り」といった表現をすることが多い印象です。文化の違いが大きいと思います。日本では深煎りでどっしりした味わいが「コーヒーらしい」と感じられる方が多いのも特徴的ですね。
ーカフェレートを実際に食べてみて、率直な感想を教えていただけますか?
エチオピアの「フルーティ」が個人的にはすごく好みでした。口に入れた瞬間に華やかな香りが広がり、ほんのり甘さを感じられるところがとても美味しかったです。一方で、ニカラグアの方も後味が落ち着いた香りで心地良いのですが、最初の香りに少し雑味を感じた印象があります。ただ、どちらも「食べるコーヒー」という新しいスタイルで、味わい方がとてもユニークだと思います。
飲むコーヒーでは感じにくい部分まで楽しめるのが良いですね。新しいコーヒー体験として、とても面白いと思います。
探究心が生み出すペアリングのアイデア
ーカフェレートをコーヒーと一緒に楽しむとしたら、どんなペアリングがおすすめでしょうか?
色々と試した結果、同系統で揃えるのが一番良いと感じました。例えばエチオピアのカフェレートなら、エチオピア産の浅煎りコーヒーを合わせると、相乗効果で風味がより引き立ちます。逆に、焙煎度合いや産地が異なるものを合わせると、香りや味わいのバランスが崩れてしまう感じがしました。特にエチオピアの華やかな香りを楽しむには、浅煎りでフルーティなコーヒーが合いますね。
ー普段のコーヒーペアリングでは、どんな組み合わせを楽しんでいますか?
スイーツや焼き菓子系が多いですね。特にタルトやパウンドケーキ、チーズケーキなどは、浅煎りにも深煎りにもよく合います。一方で、チョコレートとの組み合わせは、繊細で難しいです。もちろん相性の良い組み合わせもありますが、合わせるものを間違うと、苦味が際立ちすぎたり、渋さを感じてしまったりすることがあります。なので、コーヒーを先に選ぶ場合には、マドレーヌやバームクーヘンなどの焼き菓子系と合わせると、美味しくいただけると思いますね。
ースイーツ以外のペアリングもされていますか?
はい、食事とも合わせています。例えば、コーヒーの濃度を薄めにしてお茶感覚で楽しむと、どんな食事とも違和感なく合わせられます。劇的な相性の良さを求める場合は難しいかもしれませんが、軽いコーヒーであれば邪魔になりません。紅茶とおにぎりのような感覚ですね。ただ、これはあくまで自分が豆を消費するためにしている方法でもあるんです。コーヒー豆を頂く機会が多いので、無駄にしてしまわないように(笑)。
「カフェレート」の新たな可能性
ーカフェレートを素材として見た場合、どのようなレシピに活用できそうだと感じましたか?
そうですね、例えば、クッキーやナッツのコーティングなどはすごく合うと思いました。また、焼き菓子のトッピングやタルトのように食感があるものに混ぜると良いかもしれません。
カフェレートの香りや味にはすごく可能性を感じるので、トーストに塗るペーストやアイスクリームにするのもおもしろいと思います。いろんなフレーバーのペーストがあると楽しそうですね。
ー今後、こういった豆のカフェレートがあったらいいなと思うものはありますか?
国を絞らず、いろいろな国の豆を使ったアソートがあっても良いと思います。産地の違いや豆の個性を楽しめると、楽しみが広がりますよね。その場合は、浅煎りで果実感を残したものが理想的です。浅煎りや中煎りだと、豆本来の果実感や風味を味わえると思っています。
ー本日はたくさんのアイデアをいただき、ありがとうございました。